JR東日本スタートアッププログラム2019発表会

こんにちは。鉄道員(ぽっぽや)社長の柴田です。

先日(11/28)、「JR東日本スタートアッププログラム2019」発表会を行いました。

今年で3回目となるJR東日本スタートアッププログラム。
発表会には、共創パートナー21社の皆さんが登壇。これまで練り上げてきた「ベンチャー×JR」の事業共創プランを披露しました。

そうなんですよね。当プログラムの特徴は、単なるアイデア出しに終わらない、JR東日本のインフラを使った実証をとことんやり切ること
このプログラムで行う実証実験の数は、1年目11件、2年目18件、3年目となる今回が21件と、ちょうど50件になりました。
今回のプレゼンでもやはり、JRのインフラをとことん使い込んで成し遂げたい未来の姿は、地にドンと足を張った迫力がありました。

その実証実験となるフィールドはさらに拡大しています。
今回は、高架下や車両の中、伝統的な駅そばから最新の高輪ゲートウェイ、さらに新潟、JR西日本・九州エリアまで。
はじめてベンチャーとコラボする場所も多数。まだまだポテンシャルがありそうです。

共創ベンチャーのラインナップも多彩な顔ぶれになりました。
AIから自動運転、瞬間冷凍技術に苔栽培。一見すると、こんな実証実験に取り組んでいるのは何の会社か分からない…。
でも、むしろJRとはかけ離れた技術やカルチャーにこそ、イノベーションのチャンスがあるように思います。

一方で、社会課題の解決にチャレンジする共創ベンチャーも増えました。
次世代リサイクル、フードロス削減、空き家対策、障害者アートなど。こうしたSDGs領域はJR東日本としても重点課題として注力しているところ。
特に、人口減少に直面する地方の活性化は喫緊の課題。私たちも全力で伴走していきたいと思っています。

ほんとうは、そんなバラエティに富んだ21社のベンチャー企業をぜんぶ紹介したい!
…のですが、大作になってしまうので(苦笑)、今日はその中から難しい審査を経て各賞を受賞した各社を紹介します。

【スタートアップ大賞】CBcloud株式会社

まずは、総合グランプリにあたる「スタートアップ大賞」
こちらは、CBcloud株式会社が受賞しました。おめでとうございます!


(CBcloud㈱取締役CSO 皆川拓也さん)

共創プランは、「駅とフリーランスドライバーを掛け合わせた手ぶら観光の実現」
観光のお客様を制約する荷物の問題…。特にインバウンド観光客が増加するなか、コインロッカー不足の問題は深刻です。

CBCloudの提唱する共創プランは、同社の持つ運送ドライバーのマッチングプラットフォーム「PickGo」と駅をコラボして、手ぶら観光を実現しようというもの。
駅で預かった荷物を宿泊先ホテルまで配送するサービスを実現します。しかも当日予約、当日配送。

駅に手荷物を取りに戻る必要がないから、観光にもっと時間をかけられます。こんな手ぶら観光が広がれば、もっと旅の魅力が増すはず。これ、JRとの相性バッチリですよね…。
すでに東京駅でいち早く実証実験に着手しています。さらに他駅、他地域に広めていきたいサービスですね。

【優秀賞】農業生産法人株式会社グリーンズグリーン

優秀賞は2社が受賞。1社目は、農業生産法人株式会社グリーンズグリーンです。
同社との共創プランは、「苔栽培による鉄道高架下の有効活用」。


(㈱グリーンズグリーン取締役副社長 佐藤靖也さん)

なんともユニークなコラボが実現しました。
苔を人工栽培できる技術を持つグリーンズグリーンとJRがコラボして、鉄道高架下の遊休地の苔栽培にチャレンジ。

さらに、苔の持つ防草効果や空気清浄効果などで、鉄道沿線の除草作業の効率化商業施設の緑化促進CO2削減によるSDGs貢献を目指します。
苔と鉄道から世界に広がる未来。とても日本らしくて、夢がありますよね。

【優秀賞】日本環境設計株式会社

さらに夢のある共創プランを提唱してくれたのは、日本環境設計株式会社
共創プランは「駅からはじまる次世代リサイクル技術によるSDGsの実現」。こちらも優秀賞を受賞しました。


(日本環境設計㈱取締役会長 岩元美智彦さん)

日本環境設計は、独自のポリエステル再生技術を持ち、衣類やプラスチックのリサイクルに挑戦している企業です。
脱プラスチックが地球規模で大きな課題となっている中、同社とJRで進めるのは「駅からはじまる」SDGsチャレンジ

お客様から不要となった衣類を回収してTシャツやエコバッグに再生、回収おもちゃなども再生品化します。
名付けて「リサイクルの見える化プロジェクト」。お客さま参加型のSDGsチャレンジを推進します。たしかにSDGsをアピールするのは駅って最適かも。駅からSDGs、はじめていきましょう!

【オーディエンス賞】株式会社ヘラルボニー

今回から新設した、聴衆の皆さんの投票によって決定する「オーディエンス賞」。
栄えある最初の受賞者は、株式会社ヘラルボニーとなりました。


(㈱ヘラルボニー代表取締役社長 松田崇弥さん(左)、代表取締役副社長 松田文登さん(右))

ヘラルボニーは、知的障害者の描いたアート作品を発信、ライセンス販売等により障害者の社会参画を進めているベンチャー企業です。
同社と共創するのは、障害者アートを活用した駅ミュージアムと、回収したアート作品のアップサイクルによる商品化です。

駅ミュージアムの舞台となるのは吉祥寺駅。アップサイクルするのは工事現場の仮囲いに掲出するアート作品を予定しています。
ちなみに、会社名「ヘラルボニー」は、同社の経営者・松田兄弟の自閉症のお兄さんがノートに何気なく落書きした言葉。同社の活動は、そうしたお兄さんの思いもこめられているんですね。

【審査員特別賞】株式会社バイオーム

審査員特別賞を受賞したのは、株式会社バイオームです。
共創プランは「AI動植物判定ゲームアプリによる生物多様性の調査と流動促進の実現」。JR西日本、JR九州と一緒にチャレンジします。


(㈱バイオーム代表取締役/博士 藤木 庄五郎さん)

これぞ、お客さま参加型の共創プラン。ゲームアプリ「バイオームランド」で楽しみながら生物の多様性を調査。
分かりやすく言うと「リアル版ポケモンGO」。鉄道沿線をぶらり旅して、見つけた生き物をスマホでカシャッと撮影。そうするとAIが国内7万種の生物の中から名前を判定してくれます。

たかがゲーム、されどゲーム。バイオームが目指しているのは、ゲーミフィケーションを用いた、生物多様性の保全
このまま行くと100年で地球上の生物が半減するという大絶滅時代。私たち一人一人が今やれることをやることが、とっても大事です。
大人から子供まで「リアル虫ゲットだぜ!」を通じて、楽しみながら生態系のマップづくり。それが生き物たちの未来につながります。さあ、みんな電車でGO!いきもの探しにでかけましょう。

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あらためて、受賞された皆さん、おめでとうございました
また、惜しくも受賞は逃した皆さん、素晴らしいプレゼンをありがとうございました
登壇された21社の皆さん全員に賞をあげたくなるような個性あふれる共創プランでした。

…ただ、「JR東日本スタートアッププログラム」は、ここで終わりではありません。
むしろここがスタートライン、始発駅です。

ベンチャー企業の皆さんとつくり上げた共創プランは、実際にJR東日本のインフラを使った実証実験を行います。
そのスタートとなるのが、大宮駅「STARTUP_STATION」です。

12月4日から9日まで、大宮駅で一部の実証実験と共創プランのデモ展示を行います。
ぜひお時間のある方、関心のある方は、足をお運びください!

21の新しいパートナーと一緒にチャレンジする、21の新しい事業共創。またどこかで紹介したいと思います。

皆さん、よろしくお願いします。

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