JR東日本スタートアッププログラム2022春 DEMO DAY!

こんにちは。鉄道員(ぽっぽや)社長の柴田です。

「スタートアップ×JR」で新しい未来にチャレンジする事業共創プログラム、「JR東日本スタートアッププログラム」
先日(12/8)、6回目となるプログラム2022≪春募集≫のDEMO DAY(発表会)を開催しました。

今回、新たに共創パートナーに加わったのは10社のスタートアップ
越境ECからドローン、次世代AIに新しい旅と、JRらしいダイナミックで多岐にわたる事業共創プランが披露されました。

本当は全部を紹介したいんだけど、さすがに誌面の都合もあるので、今日はその中から各賞を受賞した3社を紹介します。

(左から、Arent鴨林さん、ソラリス梅田さん、ピーステックラボ村本さん)


まずは、スタートアップ大賞を受賞した、株式会社ソラリス
チャレンジする共創プランは、「ソフトロボットによる配管検査・清掃の生産性向上」です。

ソフトロボットとは、強度や構造的に適度なやわらかさがあるロボットのこと。生体の筋肉や関節を模した動きができたりするんですね。
ソラリスが開発しているソフトロボット「Sooha」は、通称「ミミズ型ロボット」と呼ばれ、空気の出し入れだけで動作する独自人工筋肉を搭載。ミミズの「蠕動運動(ぜんどううんどう)」のように動く不思議な(?)ロボットなのです。

これが威力を発揮するのは、口径の小さい配管の検査・清掃作業…。
ドローンを飛ばせない、高圧洗浄では届かない配管の最深部に、このミミズ型ロボットはニョロニョロと進入していけます。

実際に私も、JR赤羽駅の深夜の実証実験に立ち会いましたが、ロボットの先頭部に付けたカメラから送らてくる画像はなかなかに衝撃的…。
立ち会った業者さんも「画期的」と驚くほど、複数カーブを難なく突き進み、配管奥深くの状態をつまびらかにしたのです。

(ソラリス 梅田代表)

実は、駅施設の配管は、長年の改装・移設などの影響で、あっちに曲がったり上下にうねったり複雑な造りになっています。
そのため日常の点検や清掃は大変難儀なものでした。この難題を解決する糸口を、ソラリスのミミズ型ロボットが示してくれたのです。

こうした配管は、JRだけでも数多くありますが、世の中に目を向ければ、ソラリス梅田社長も「計り知れない」と言うほどたくさんあります。
これらが抱える問題が、こうしたJR施設での実証実験によって解決されるなら、インフラの信頼度が大きく増すことになるでしょう。

そのPoCのフィールドとして、難易度の高い駅施設や、JRのビルメンテ子会社の研修施設を活用するというのは、とてもいいコラボのように思いました。
ぜひ、駅と鉄道から社会全体へ、新しいインフラ・メンテナンスの仕組みを創っていきましょう。


続いて、優秀賞を受賞した、株式会社Arent
チャレンジする共創プランは、「高架橋鉄筋モデルの自動化と設計業務効率化」です。

今回のプログラム2022春募集の特徴は、テック系のスタートアップが多いこと。
特に、建設DXに挑む共創プランが目立ったのですが、これは以前実施した「課題先行型マッチングイベント」、通称「逆ピッチ」が影響しています。

この逆ピッチは、普段は受け側のJRが登壇して、課題や悩み、求める技術を明らかにして、スタートアップから提案を募るというもの。私たちはこれまで5回開催しています。
昨年10月に「鉄道建設工事」をテーマにした逆ピッチを開催していて、ここから生まれた共創プランが、ちょうど今回の春プログラムでPoCに入る段階となりました。

(Arent 鴨林代表)

このArentもその一社。複雑で特殊な鉄道構造物ならではの課題解決に挑みます。
チャレンジするのは業界初、特殊な構造を持つ鉄道高架橋の「自動配筋」。配筋とは鉄筋の配置のことで、皆さんが想像する通り、鉄道高架橋は超過密で複雑な設計となっています。

なので、鉄筋に係るすべての作業には多大な時間がかかり、設計も非常に複雑で手戻りが多く、関係者を悩ます「魔の業務」となっています…。
それを解決する画期的なソリューションとなりうるのが、彼らの持つ「自動配筋機能」による自動モデリング技術です。これがなんと、通常の建築物では1本4時間かかっていた作業を、1000本を1分でシステム化できるというスグレモノ…。

この技術を鉄道業界に初めて応用、最大級の難易度を持つ鉄道高架橋の「自動配筋」に挑戦するのです。
これがクリアできれば、その他の構造物への応用も可能に…鉄道産業のDXと社会インフラのDXを推し進めることも可能になるのではないか。そんな可能性を秘めたチャレンジです。


そして、審査員特別賞を受賞したのが、株式会社ピーステックラボです。
チャレンジする共創プランは、「シェアリングサービスを活用した新たな列車旅行体験の創出」です。

コロナ禍で、大きな影響を受けた鉄道業界…。しかし、列車の旅の魅力はいつの時代も変わりません。
モノのシェアリングサービス「Alice STYLE」を展開するピーステックラボとJR東日本が、列車の旅をさらに魅力的なものにするチャレンジを行います。

キーワードは「手ぶら観光」。未だペインの多い旅の荷物の悩みをシェアリングサービスで解決。
旅先で必要なものは旅先で借りる。列車内で使うものは発駅で借りて着駅で返す。ときには使ったことのないモノをお試しして新たな旅行体験も…。移動×モノ×シェアリングで新しい列車旅を創り出します。

(ピーステックラボ 村本代表)

これ、SDGsの理念にもかなってるんですよね…。「たくさん使って、たくさん捨てる社会から、みんなで共有する社会へ」。これはピーステックのラボの理念でもあります。
今回の手ぶら観光をきっかけに、エコツーリズムやシェアリングエコノミーがもっと広がるようになったらいいな…。

まずは、東北新幹線の東京~仙台間で実証実験をする予定です。リモートワークセットやリラックスセット(目の疲れや首・腰のハリをとる健康グッズ)、リフレッシュグッズ(レッグリフレや美容グッズ)などを計画中。
皆さん、来年の旅はぜひ「手ぶら旅」で、リラックス&リフレッシュしてください。


ということで、プログラム2022春は、今日紹介した3件をはじめ10の共創プランがスタートします。
どれも、本気で社会実装を目指す事業共創プランです。駅と鉄道から未来を創るチャレンジ、これからもどんどん進めていきます。

皆さん、よろしくお願いします!

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