【第13回DEMO DAY】スタートアップ大賞は㈱Thinker!“考えるロボットハンド”が切り拓く鉄道インフラの未来

こんにちは。鉄道員(ぽっぽや)社長の柴田です。

先日、第13回目となる「JR東日本スタートアッププログラムDEMO DAY」を開催しました。

今回もピッチステージでは、熱意あふれるスタートアップの皆さんが、「スタートアップ×鉄道」で創り上げる未来に繋がる共創プランを披露。
主催者である私たちまで、その圧倒的な熱量をたっぷり体感できる濃密な1日となりました。

今回は、そんな新パートナーたちの中から、見事にスタートアップ大賞を受賞した、株式会社Thinkerの挑戦と、私たちが共に描くワクワクする未来を紹介しましょう。

(左:JR東日本伊藤副社長、右:Thinker中野CTO)

“考えるロボットハンド”で、鉄道保線現場の未踏領域へ挑む

Thinkerは、2022年に創業された、大阪大学発のロボットハンドスタートアップです。
ロボットハンドが人とともにある日常へ。「Think by Hand. Craft the Future.」をビジョンに掲げ、人間とロボットが協働する未来を創るために挑戦を続けています。

彼らが私たちと初めて鉄道領域の共創に挑戦、このプログラムでターゲットに据えたのは…。
鉄道の安全運行を支える要でありながら、最も過酷な環境の一つでもある「レール(線路)交換」の自動化です。

終電から始発までのわずか「4時間」という限られた時間の中で仕上げなければならないレール交換。
計画から搬入、入替、溶接、締結、調整、検査にいたる多くの工程の中で、いまだに多くの「手作業」が残されています。
今回の挑戦ではこのうち、締結前における締結装置(レール固定クリップ)の“たてこみ”作業の自動化に照準を合わせました。

(Thinker中野CTO)

なぜ、屋外作業ロボットは普及していなかったのか?

工場などの「屋内」であれば、十分な明るさと規格化された環境、徹底した養生があるためロボットの導入は進んでいます。
しかし、鉄道の保線現場のような「屋外・雨天」「暗さ」「ばらつき」がある過酷な環境では、従来のロボットは機能しませんでした。

この課題を突破するのが、Thinkerが開発した「指先で感じるロボットハンド」(Think Hand F)です。
彼らのプロダクトは、近接覚センサや柔軟機構平板、柔軟関節を組み合わせた独自のシステムを搭載しています。

この高度な器用さを持つロボットハンドが、今まで人でしかできなかった微妙な調整を要する"たてこみ"作業の課題を解決。
まるで人のような「指先で探り当ててはめ込む」動きを実現し、レール固定クリップの形状の違いや位置ずれにも対応して、ばらつきのある環境でも高難度タスクを自動化するのです。

当日は、ブース会場で開発中のデモ機を展示。実際に指先で探り当てながら、現場を模した資材へ正確にパーツをはめ込むデモが披露され、その技術力に驚きの声があがりました。
私も、クリップの位置をずらしたり、サビのついたクリップを置いたり、ちょっと意地悪(?)をしましたが、それでもきちんとロボットハンドが認識して、締結位置まではめ込んだときには、思わずロボットを抱きしめたくなりました。

(展示ブースで稼働を披露したロボットハンド)

本プログラムによって生み出す価値

Thinkerとの共創がもたらす最大の価値は、「人手不足・人手依存からの解放」です。
この技術が実用化されたなら、これまで6人がかりで行っていた締結作業を、ロボットとの協業によって2人まで変革できます(3分の2の省力化)。

さらに、これをきっかけにして、これまでは「自動化は無理だ」と諦めていた、他の鉄道作業へのロボット進出の可能性が広がります。
さらにさらに、鉄道から他領域へ、ロボット技術の「屋外工事進出」を促進し、これまで未踏領域だった「屋外市場の開放」を切り拓く大きな一歩になるものと、期待しています。

その挑戦の道のりは、決して平坦なものではありません。私たちが描くロードマップの前には、クリアすべき数多くの壁が立ちはだかっています。
しかし、その先にある未来は、Thinkerや私たちJR東日本グループだけでなく、すべてのロボットスタートアップ、そしてインフラを支える企業にとっても大きな希望に満ちたものです。

だからこそ、この壁に挑むことは、とてつもなくエキサイティングで、胸が高鳴るほどの大きなやりがいを感じています。
あらためて、未踏の鉄道保線領域へ、果敢に挑戦の一歩を踏み出してくれた「Thinker」に感謝します。ありがとう。そして、スタートアップ大賞おめでとう。この挑戦を必ず成功させましょう

挑戦を社会実装へ。「スタートアップ×鉄道」で、新たな未来を切り拓く。
私たちの挑戦はまだまだ続きます。これからも、私たちの挑む本気の「共創」に、ぜひ注目してください。

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