次の当たり前をつくろう。

こんにちは。鉄道員(ぽっぽや)社長の柴田です。

皆さん、数年前のJR東日本のテレビCMを覚えているでしょうか。
初代新幹線0系から北海道新幹線はやぶさE5系へ。
磁気券からSuicaへ。駅の移り変わる姿、駅ナカから街ナカへ…。

変革への思いが込められた30秒。その最後に流れるのがこの言葉です。

次の当たり前をつくろう。

いま、私たちは、この言葉をあらためて胸に刻まないといけません
言うまでもなく、新型コロナにより社会は大きく変わりました。3か月前の景色を取り戻すのは難しいでしょう…。
新しい生活様式、新しい働き方、Withコロナ時代のニューノーマル。
今こそ、「これまでの当たり前」から「次の当たり前」へ、大きく舵を切らないといけません。


「次の当たり前」をつくるときに、「絶対に必要だよな」って思っているのが、ベンチャー企業との共創です。
仕事柄そう思うのかもしれませんが、でも仕事で体感しているからこそ、自信を持ってそう言えるのです。
理由は3つあります。

スピード

一つは、「スピード」。ベンチャー企業と大企業では、圧倒的に物事を進める(当然「決める」も)スピードが違います。
もちろん、安全第一のJR東日本では、スピードの出し過ぎにはブレーキを踏みますが、それでも加速性能は段違い
何度ブレーキを踏んでも(苦笑)、すぐにやり方やモデルを変えて未来に走り出します。
この激動の時代、つべこべ言わず思い切って、ベンチャー企業の時計に合わせちゃうっていう判断も必要になると思います。

未来のアイデア

次に、ベンチャー企業が持っている「新しいビジネスモデルとテクノロジー」
Withコロナ時代のニューノーマルは、これまでベンチャー企業が目指してきた未来に近いものがあります。デジタルトランスフォーメーションとか、地方との共生とか。
この辺りのベンチャー企業の得意分野は、積極的に自らの事業やインフラにとり入れちゃうべきだと思います。それはニューノーマルの早期実装にもつながります。
社会が大きく変わる今、ゼロイチはベンチャー企業、社会実装はインフラも人も持っている大企業という分担と共創が重要になるのではないでしょうか。

既存をディスラプトする覚悟

そして、「次の当たり前」をつくるときに絶対に必要な「既存をディスラプトする覚悟」
「これまでの当たり前」を破壊する…。これって「言うは易く行うは難し」で、既存のプレイヤーには勇気が要りますよね。
だから、そうしたマインドの部分もベンチャー企業からとり入れたらいいんじゃないかと思うんです。
彼らの熱量の高さは、これまでの共創のプロセスで痛いほど知りました。確かに若くて危なっかしいけど、大企業のサラリーマン諸氏も若いときはそうだったはず(Me too…)。
今こそ、昔のヤンチャな夢を彼らに託しませんか?自ら変われるなら良し、そうでなければ外から突然変異的なDNAをとり入れることも必要になると思います。

…ということで好き勝手に書き連ねましたが、そんな風に確信しているので、何度も言いますが、オープンイノベーションを止めません
ベンチャーとの共創を続けていきます。支援とかそんなんじゃなくて、一緒に「次の当たり前」をつくっていく。むしろ、ベンチャーの皆さんから学んでいきたいと思っています。


戦後最大の大変革期、ベンチャー企業も大企業も一緒になって、「次の当たり前」をつくっていかなければなりません。
特に私たちJR東日本スタートアップが重点的にチャレンジしていきたい領域は次の3つです。

地方創生

一つめは、「地方創生」です。
「密」から「疎」へ。高密度に集約した都市型の仕組みは少なからず見直されるでしょう。
安宅和人さんが「開疎化」と呼ぶ次の時代は、都市から地方へのシフトが進んでいくものと思います。
「週の半分は地方、週の半分は東京」というライフスタイルは、非現実的なものではなくなりました。
そのとき、地方を軸とした新しい暮らし、新しい働き方を創造していくことが必要になっていきます。

これまでも私たちは、地方創生に向けた様々なチャレンジをしてきました。
定額の全国住み放題サービスを提供する「アドレス」との連携、地方の駅をコミュニティハブとして再生する「Next Commons Lab」との共創、無人駅をグランピングの聖地にして地域活性化につなげる「ヴィレッジインク」とのチャレンジなどなど。

このような地域の魅力を再発掘するベンチャー企業との共創を、もっともっと深めて、広げていきたいと思います。
いきなりだと地方もキツいでしょう。住まい、オフィス、教育、医療など、社会インフラの整備は行政や大企業の出番だと思います。
開疎化時代の「次の当たり前」、次の地方創生。今こそ果敢にトライしていきたいと思っています。

スマートトレイン/スマートステーション

2つめは、「スマートトレイン/スマートステーション」です。
さらなる省力化・省人化、データ・AIの活用、デジタルトランスフォーメーション(DX)が急速に進んでいます。
これまでの「かけ声」のDXが「本気」のDXに変わっています。そうしないと生き残れない…。幸運なことにサラリーマンのITリテラシーも一気に上がりました。
鉄道も既存のサービスやオペレーションの変革が急務です。鉄道×AI、鉄道×DXなど、スマートトレイン、スマートステーションを速やかに実現しないといけません。

この領域もこれまでベンチャー企業とトライアルを進めてきました。
音の見える化にチャレンジする「Hmcomm」との共創、施設メンテナンスへのドローンの活用(Liberaware)など、AIや最新技術の活用。
さらには、AI無人決済店舗(TOUCH TO GO)や無人そば店舗への挑戦(コネクテッドロボティクス)など、省人化・省力化技術の導入。

もっともっとDXを進めていかないといけません。このとき重要になるのが、スクラップ&ビルドの観点だと思います。
単にいまの仕事をAI化・DXするだけでなく、新しい価値を生み出していく…。たとえば異音の検知をAI化したら、人の作業を置き換えるだけでなく、データベース化してメンテナンスの仕組みを再構築していくような…。
そんな仕事やサービスの「次の当たり前」、スマートトレイン、スマートステーション。やれること、たくさんありそうです。

Withコロナ/Afterコロナ時代の新しい旅

そして3つめは、「旅」です。
新型コロナで大きな打撃を受けた産業の一つが、観光業界です。それでも、リアルな「旅」はこれからも残ります。残していかなければいけないと考えています。
そう思うのは、一つには、旅・観光の経済規模。観光庁によると、国内の観光消費は27.1兆円、雇用効果は472万人。いまや観光は日本が世界に誇る一大産業、経済へのインパクトは計り知れません。
そして旅は、旅行者にとっても計り知れない価値を提供します。旅先で得られる刺激や感動、癒し。人と人のつながりを含めて、旅は豊かな人生に必要な栄養素です。

それでも、旅のあり方は変わるでしょう。当面は、これまで旅行消費をけん引してきたインバウンド需要も見込めません。
私たちは、Withコロナ/Afterコロナ時代の新しい旅をつくっていかなければなりません。
たとえば、「密」から「疎」の時代、よりローカルな旅のニーズが増す可能性があります。移動の制約があるうちは、地方の人が地方の旅をする。そんな需要が新たに生まれるかもしれません。
さらには、地方でのリモートワークや地域の副業とのコラボなどの新しい旅も生まれるかも…。

こうした新しい旅、旅の「次の当たり前」を、ベンチャー企業と一緒につくっていきたいと思っています。
すでに、タネはいくつか出来てます。スキマバイトアプリを展開する「タイミー」とは、働きながら旅する「タイミートラベル」のチャレンジをしています。AI利き酒の「MIRAI SAKE COMPANY」とは新潟で「日本酒観光案内バー」を展開し多くの地元の方に利用していただきました。
他にも地元の「食」を盛り立てるベンチャーとの共創など、可能性はたくさんあると思っています。シュンとしてる暇などありません。ベンチャー企業からアイデアと熱量をもらって、新しい旅づくりにチャレンジしたいと思います。


…ということで、だいぶ長くなりましたが、コロナニモマケズ、新しいチャレンジを続けていきます。
「ベンチャー×JR東日本」で未来を共創する「JR東日本スタートアッププログラム」は2020年度もアクセルを緩めません
今回はテーマとして、「地方創生」「観光・インバウンド」「スマートライフ」の3つを掲げて、「次の当たり前」にチャレンジしていきます。
共創パートナーとなるベンチャー企業を絶賛募集中です。
※エントリーページはこちら

皆さん、よろしくお願いします。

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

おすすめの記事