獣害対策にもスタートアップの知恵とテクノロジー

こんにちは。鉄道員(ぽっぽや)社長の柴田です。

鉄道から商業まで、幅広くスタートアップ企業と共創を進める「JR東日本スタートアッププログラム」
実は、「こんなこともやっているの!?」と驚かれるケースも多いです。

今回紹介するのは、そんな共創プランの中でも、びっくりされることの多い協業先「㈱はなはな」を紹介します。
同社と一緒に取り組むのは、なんと「獣害対策」
シカやイノシシに、スタートアップの知恵とテクノロジーで立ち向かいます。

実は、シカなどと鉄道車両が衝撃する事故が相当数あるんです。
そのせいで運行が遅れたり、運休したり、お客様に大変なご迷惑をおかけしています。

特に地方線区では深刻です。
これまでも、柵をつくったり、忌避剤をまいたり、いろんな対策をしてきました。
ただ、抜本的な対策にはなっていないのが現実。自然が相手だとなかなか難しいですよね…。

そんな難解な課題に、スタートアップと一緒にチャレンジします!
どんな「武器」をもって野生動物と立ち向かうかと言うと、それは「スズメバチ」

スズメバチでシカやイノシシを撃退するんです。
…と言っても、実際にスズメバチを飛ばすわけではなく、「羽の音」で野生動物を近寄らせないようにします。

仕組みはこんな感じ。
動物たちを近づけたくないエリアに、スズメバチの羽の音を流す配管を設置します。
いわばスズメバチの仮想生息域をつくるわけですね。そこにスズメバチの飛び交う羽音を流します。
そうするとなんと、スズメバチを忌避する野生動物たちは、そのエリアに近づかないようになる…。

本当?って思いますよね。
それを可能にしているのが、今回のパートナー、㈱はなはなの鳥獣侵入忌避システム「境界守」(きょうかいもり)です。
※製品情報はこちら

すでにいくつかの施設で導入事例があって、その効果は実証済み。
今回、世界で初めて、鉄道沿線で同システムの効果を検証することとしました。

向かったのは、岩手県のJR山田線
実は同路線は、シカとの衝突事故が年間数百件もある獣害多発線区。
寒風吹きすさむ中、その一部区間(500m)に配管を設置して、スズメバチの羽音を流したところ…。
なんと、3月までの実証実験中、その区間でシカとの衝突事故がゼロになりました

これには、私自身も正直驚きました。
同社の清水社長は、すでに他施設で効果があったことから、この結果にも当然という反応。
半信半疑だった私が、ピシャリとやられた格好です(苦笑)。

もちろん、今後については、今回の実証実験をきちんと検証してからの判断となります。
ただ、「スタートアップ×JR」のポテンシャルの大きさを感じる事例となったことは事実です。

ちなみに、農林水産省によると、鳥獣による農産物被害は約200億円とのこと。
農産物以外にもハトやネズミに悩む産業はありますから、潜在的な損害額はもっと大きいと思われます。
鉄道沿線だけでなく、鳥獣被害に悩む農家やさまざまな施設で需要がありそうですね。

課題あるところに、チャレンジあり!
スタートアップとともに、シカやイノシシにも挑んでいきます。クマにも挑める!?…ちょっと怖いけど。

皆さん、よろしくお願いします。

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