こんにちは。鉄道員(ぽっぽや)社長の柴田です。
だいぶ前になるんですが、キレッキレの先端テクノロジーを持つスタートアップと出会いました。
その独自のテクノロジーは、それだけで見る(聴く)ものを圧倒させるんですが、このスタートアップのアプローチはちょっと違っていました。
「いま現場で困っていることは何ですか?」
自分たちの技術や製品を売ろうとするのではなく、こちら側の課題をしつこく(?)尋ねてくるんですね。
特定の技術にこだわることなく、現場の課題に合わせたソリューションを、自らの持つアセットからつくり上げていくのが彼ら流なんだとか。
現場の課題が先。その解決に向けて最適なテクノロジーを実装していく発想。
研究開発型スタートアップというのでしょうか。現場の課題に合わせて技術をカスタマイズしていく。企業のR&Dを受託するようなビジネスモデル。
これ、すごく面白いなって思いました。
それが、今回資本業務提携に合意した筑波大学発スタートアップ、ピクシーダストテクノロジーズ㈱です。
独自の波動制御技術「HAGEN 波源」をコアとして、様々な大学発の技術シーズを用いた研究開発と事業活動を展開。
事業会社と連携した社会実装により、労働人口の減少や障がい者の暮らしをより豊かにするといった社会課題の解決に取り組んでいます。
彼らの魅力の第一は、先述の通りの現場ドリブンの課題解決スタイル。
実際に、「いま現場で困っていること」についてひとしきりブレストした後、一緒に鉄道の現場を観に行ったりしています。
すでにいくつもの大企業の現場に足を運んでいる彼ら、そこで、類似の具体的な事例が出てくるのは有難かった。
現場って、ややもすると内部完結しちゃうから、外部の視点っていい刺激になるんですよね。Win-Winだなって思いました。
目指すところが、テクノロジーの社会実装を進めることで、日本が抱える様々な社会課題を解決するというのも、大いに共感するところです。
特に、リアルなインフラを持っている当社グループには、「社会実装」のフィールドがたくさんあります。
代表取締役CEOの落合陽一さん(筑波大学准教授)と議論したときも、駅や鉄道という当社グループの持つインフラのポテンシャルに触れ、「やりたいことがいっぱいある。イノベーションをもっと社会実装していきたい」と思いのほどを語ってくれました。
同社がこれだけ幅広く、テクノロジーの社会実装にこだわれるのも、独自の産学連携モデルをつくっているからです。
それは、筑波大学の落合研究室で生み出される研究成果を同社が知財化、その対価として大学側に新株予約権を発行するという仕組み。
そうすることで、大学の持つ優れた技術シードを研究室の中から外へ、それこそ「社会実装」が加速していきます。
同社はこの産学連携モデルを筑波大学以外の大学にも広げていくスコープを持っています。
日本のアカデミアには、世界に誇る優れた技術シードがたくさんあります。それを産業と結びつけることで、様々な社会課題が解決できるはず。
こんな産学連携が加速する未来、絶対に実現したいと思っています。
いま私たちは、ピクシーダストテクノロジーズと新たなテクノロジーの社会実装を議論しています。
今回の提携で挑戦するのは、大学発の先端テクノロジーを駅や車両などJR東日本グループが持つ現場に実装すること。
「ピクシーダスト×JR」で、鉄道会社ならではの新しい価値を生み出していきたいと思っています。
皆さん、よろしくお願いします。