こんにちは。鉄道員(ぽっぽや)社長の柴田です。
先般(7/30)、日本経済新聞社主催の講演会に登壇してまいりました。
テーマは「起業家精神を再び オープンイノベーション成功の条件」。
駆け出しの、まだ成功もしていない私がこのテーマで話すのもどんなもんかなと思いましたが、日頃からお世話になっている、日経新聞の村山さんからのご依頼。
「成功の条件」はともかくとして、大企業の新米CVCの立場から、課題や具体的な取組みを話させていただきました。
どんなことを話したかについては、折を見て紹介していきたいと思います。
今日は、その中から、この講演の主題である「大企業CVCがどうすれば成功できるのか」について、当日のパネルディスカッションからピックアップしますね。
まずは、日本経済新聞にも掲載された「大企業CVCに問われる条件」です。
村山さんが指摘するのが、CVCに「問われる5条件」、頭文字をとって「FACTS」と呼ぶ5つ。
「F」はフラット。スタートアップと対等な立場で向き合うこと。
「A」はアセット。経営の資産を出し惜しみせずに協業に有効活用すること。
「C」はコミットメント。トップを含めあらゆる部署が主体的にかかわる意識。
「T」はトランスフォーム。スタートアップとの協業から刺激を受けて自らを変革する力。
「S」はシナジー。スタートアップと自社との相乗効果。
私にとって羅針盤とも言うべき「5条件」。
いつも「こうありたい」と思いながら、いつも本体部門の厚い壁に阻まれているのが悩みの種…。
そんな悩みを同じく抱える皆さんへ。羅針盤にはならないと思いますが、新米CVCが、日々打ち返されているうちに、少しずつ気づいた経験則があります。
題して、「新米大企業CVCの心がけ」。私なりに考えた、大企業CVC担当者に推奨する「さしすせそ」です。
「さ」は「先をみる」。今を変えられないなら、未来を変えよう。
大企業は当座、困ってません。だから自分たちのモデルを変えることに強い拒否反応を示します。
このマインドを変えるのは相当な骨…。であれば、少し先を見据えて、未来を変えたほうがいい。
私たちが出資したakippaさんとかバックテックさんも、未来を変えるものでした。
「し」は「支援者を得る」。有力者の支援があると、物事が進みやすい。
大企業はよくできたサラリーマン組織。上意下達、忖度の文化があります。この組織に抗うのではなく、うまく使いましょう。そうです、「上」を味方につけるんです。
できればトップのサポートが望ましいと思います。みんな偉い人の指示には逆らえません。
ちなみにJRは「現場第一」が浸透しています。企画部門が抵抗しても、現場が求めるサービス(=お客様が求めるサービス)は、結果的に受け入れられます。
迷ったら、現場に行く、現場に聞く。現場が求めることをやろうと、私たちは心掛けています。
「す」は「捨てる」。新しいことをやるなら、既存のものをあきらめる。
大企業の最大抵抗勢力は、実はミドルです。ミドルは毎日忙しくていっぱいいっぱい。とても新しいことをやる余裕がありません。
彼らを動かすには、思い切って今ある仕事を捨てさせることが肝心です。「あれもこれも」じゃなくて「あれはいらない」って言ってあげないといけません。
3M社は執務時間の15%を好きな研究に使わせていると言います。そのためにも、15%でも20%でも今の仕事を「捨てる」勇気が必要です。
「せ」は「成功事例をつくる」。まずはスモールスタートから。
どんな小さなことでいいから、成功事例をつくりましょう。これがあると、風向きが変わります。
ホームランではなくシングルヒット。私たちも、最初のアイデアがどんどん削られていってヘコみますが、そこはガマン。まずはスタートさせることが肝要です。
「そ」は「外から進める」。本丸がムリなら、周りから始めよう。
順調なコア事業を動かすのは難しい…。競争にさらされている周辺事業、例えばグループ会社からのほうが、賛同を得やすいです。
私の初仕事も、グループ会社訪問でした。彼らは本当に困っていて、「変える」ことを厭いません。このエネルギーをスタートアップとの連携による「変革」にぶつけてもらいましょう。
どうなんでしょう、大企業CVC「さしすせそ」。苦労しているのはうちだけなのかな…?
でも、私のまわりで起こっているリアルはこんな感じです。そんでもって、ちょっとずつですが、スタートアップ企業に対する理解が進んできているのもリアルです。
同じ悩みを持っている皆さん、大企業CVC「さしすせそ」で厚い壁を乗り越えませんか。
その他当日の内容については、また機会を見て紹介しますね。
皆さん、よろしくお願いします。