
こんにちは。鉄道員(ぽっぽや)社長の柴田です。
「スタートアップ×JR」で新しい未来にチャレンジする事業共創プログラム、「JR東日本スタートアッププログラム」。
先日(2025年5月27日)、2024年秋募集の採択企業を一堂に会して、第11回DEMO DAY(発表会)を開催しました。

今回登壇したのは新たな共創パートナーとなった9社。2024年秋コースにご応募いただいたスタートアップ138社の代表です。
同春コースへの応募は154社でした。春と秋を合わせると292社となり、応募総数は年間ベースで過去最高となりました。
また今回のDEMODAYは、前回の「JR EAST STARTUP DAY」で好評だった展示ブースを設けたこともあって、たくさんの方に足をお運びいただきました。
おそらく過去最高の来場者数だったと思います。想定以上の来場者数でピッチ会場に入れなかった方も…。申し訳ございませんでした。次回は改善します。

11回目を迎えて過去最高の応募数と来場者数というのは、なんと言ったらいいのか…。いろいろあっただけに、うれしさ以上のアツい感情がわき立ちます。
これも全て、これまで泥臭く諦めず共創してくれたスタートアップの皆さんのおかげ。あらためて、アツく感謝申し上げます。
そんな会場と主催者のアツい思いを一身に浴びて、第11回DEMODAYのピッチステージに登壇したのは9社のスタートアップ。
それぞれアツく「スタートアップ×JR」で共創する未来を提示、新たな10回のスタートを高らかに宣言してくれました。
どれもこれも引き込まれる内容で、本当は9社ぜんぶの共創プランを紹介したいのですが、それはまた別の機会として…。
今回はその中から、スタートアップ大賞に選ばれたSPACECOOL株式会社を紹介したいと思います。

(SPACECOOL株式会社 末光社長)
彼らと共創する事業プランは、「放射冷却素材を活用した鉄道施設(ホームドア)信頼性向上への挑戦」です。
太陽光の熱を宇宙に放射して冷却するという画期的な新素材を開発するスタートアップと、特に夏は灼熱の太陽光を浴びて走行する鉄道会社の奇跡のコラボレーションです。
何よりも、この新素材「spacecoolシート」がスグレモノ。断熱や遮熱といったこれまでの熱対策に一石を投じる革新的な技術は、なんと自然界の放射冷却現象を活用しています。
太陽にあたためられた地表の熱を赤外線として空気中(そして宇宙)に放射するという熱移動の仕組みを、SPACECOOLが独自の技術で光学フィルムに実装。地球をクールダウンする新素材を開発したのです。

(spacecoolシート/同社プレゼン資料より©SPACECOOL)
はじめて聞いたときは「すごい!」と驚愕しましたが、一方で「本当なのか?」と頭をひねったりもしました。
だって、「宇宙に放射する」ってどういうこと?目に見えないもの・理解できないものは信じないタイプなので…(苦笑)。
ただ、そこはリアルのインフラを有するJR、そのインフラで実証するプログラムの強み。本当に試してみました。
対象は山手駅のホームドア。ホームドアも昨今の猛暑で機器への負荷が増しています。その筐体にこのspacecoolシートを貼って実測してみたところ…。
なんと、最大10℃もの冷却効果を観測することができたのです…。これは、マジで「すごい」。
さらに施工のし易さも強みに思いました。モノは薄いアクリル板のような仕様で、施工を請け負ったJR子会社で特段の技術を用いることなく貼付可能。しかも見た目に変わりはありません。

(SPACECOOL社との共創プランの概要)
もちろん、これは第一歩にすぎません。今後の実証実験では、他駅や他時間帯(特に夏!)などで効果を図ります。
さらに、ホームドアから建屋や車両などさまざまな施設へと展開を広げられていきたいと、夢も広がっているところです。
何しろ、鉄道は日々太陽の熱を浴びて走っていますから、SPACECOOLとの相性は抜群。
また、この素材はゼロエネルギーで冷却効果を得られるので、環境にやさしい交通モードである鉄道とSDGsの観点でもきわめて相性がよいと考えます。
プレゼンの最後に同社末光社長が、「これをきっかけに、鉄道事業の新たな取り組みとして、この"JR東日本モデル"を広げていきたい」と宣言してくれました。
まさに共創宣言。これから共に、鉄道の安全性や快適性を実現していくことはもちろん、地球温暖化などの環境対策にもつなげていければと思っています。

(スタートアップ大賞パネルを持つSPACECOOL小田さん(右))
まずは、この実証実験から共創スタート。いろんな課題を乗り越えて、この新技術の実装を進めていければと思います。
今日は、新たな10回のスタートとなる第11回DEMODAYから、スタートアップ大賞を受賞したSPACECOOL株式会社とその共創プランを紹介しました。
新素材「spacecoolシート」で鉄道と地球をクールダウン!「SPACECOOL×JR」で、鉄道から日本と地球の未来を変えましょう。